木材建築の海外事例4選|世界のトレンドと地域材活用のヒント

2026.10.30

海外では木材を使った高層建築が生まれていますが、どこまで木で造られているのでしょうか。国内で国産材・地域材を活用する際に、何を参考にできるか気になる方もいるはずです。

本記事では、海外の木材建築を用途と構造の違いから読み解くために、次の内容を紹介します。

  • 完成済みの海外建築4事例
  • 木材利用を支える技術と環境への視点
  • 日本との比較と地域材を選ぶ判断軸

事例を知ることで、地域材を使う場所や必要な条件を考えやすくなります。木材建築の可能性は、高層化に加え、用途に合う材料・技術・管理を組み合わせることにも広がっています。

富山県内で地域材を身近な外構に取り入れたい方へ、当社は富山県産スギを使ったデッキを製造・販売・施工しています。商品詳細では特徴や用途をご確認いただけます。

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海外の木材建築4事例を用途と構造で比較する

海外の木材建築は、高層住宅だけでなく学生寮や文化施設、教育施設にも広がっています。事例を見る際は、建物の高さと木材が担う役割を分けて見ると、それぞれの特徴を理解しやすくなります。

ここでは完成・開設済みの4事例を取り上げます。木材を使う場所や他の材料との組合せに着目すると、日本での活用を考える手がかりが得られます。

建物 国・完成または開設年 規模 用途 木材の主な役割
ミョーストーネ ノルウェー・2019年 18階・85.4m ホテル・住宅・オフィスなど 集成材の柱・梁、CLTなど
ブロック・コモンズ カナダ・2017年 18階 学生寮 CLTの床、集成材などの柱
サラ文化センター スウェーデン・2021年 ホテル棟20階・75m 文化施設・ホテル CLTモジュール、集成材など
ガイア シンガポール・2023年開設 6階 教育・研究施設 大規模な施設への木材利用

同じ木材建築でも、構造の考え方や用途は異なります。階数だけで建物の技術や環境性は比較できないため、どの部分に木を使ったのかを確かめましょう。

ノルウェー|ミョーストーネの高層複合建築

ミョーストーネ(Mjøstårnet)は、ノルウェーのブルムンダルに建つ18階建ての複合建築です。2019年に完成し、ホテルや住宅、オフィスなどが入っています。

最上部のパーゴラと呼ばれる屋外の架構までの高さは85.4mです。数字を見る際は、どの部分までを測った高さかにも目を向けると、建物の規模を捉えやすくなります。

柱や梁、斜めに配置する補強部材には集成材が使われ、CLTと呼ばれる木質パネルも採用されています。一方で、床の一部にはコンクリートも使われています。

この事例から分かるのは、木材を中心に据えながら他材料も活用できることです。木材建築という名称だけで、基礎や床、接合部まで全て木でできていると考えないことが大切です。

カナダ|ブロック・コモンズの混構造学生寮

ブロック・コモンズ・トールウッド・ハウス(Brock Commons Tallwood House)は、バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学にある18階建ての学生寮です。2017年に完成しました。

CLTの床を木の柱で支え、階段・エレベーターを収める中心的な部分にはコンクリートを使っています。屋根や接合部には鋼材も使う、複数の材料を組み合わせた建物です。

主要な木質部材と外壁パネルは、カナダのブリティッシュコロンビア州(BC州)内で事前に製造されました。木材の利用と工場での部材製作を組み合わせる方法が、この建物の特徴の一つです。

防火対策では、多くの木質部材を石膏ボードで覆い、スプリンクラーなども採用しています。木材単体の性質だけでなく、被覆や設備を含めて計画している点を押さえましょう。

スウェーデン|サラ文化センターと地域産業

サラ文化センター(Sara Cultural Centre)は、スウェーデンのシェレフテオで2021年に完成した複合施設です。図書館や劇場、美術関連施設などと、20階・高さ75mのホテル棟を組み合わせています。

ホテル棟には、工場で製作したCLTの立体モジュールを積み上げる方法が用いられています。施設には集成材も使われ、木材と鉄骨を組み合わせた部分もあります。

この建物の計画を支えたのが、地域の森林産業と木造建築の知識です。地域の産業と現代の木材技術を結び付ける視点は、日本で地域材の用途を広げる際にも参考になります。

シンガポール|ガイアの教育施設と環境設計

ガイア(Gaia)は、シンガポールの南洋理工大学で2023年に開設された6階建ての施設です。学びや研究に使われ、木材の活用が熱帯地域の教育施設にも広がっていることを示しています。

運用時のエネルギーに関わる「Green Mark Platinum(Zero Energy)」認証も取得しています。ただし、運用エネルギーと建設時の環境負荷は別に考える必要があり、建物全体のCO2排出がゼロという意味ではありません。

維持管理の面では、大学が2024年8月にカビへの専門家評価を公表しました。当時の説明では、結露や雨への曝露が主な原因とされ、清掃や定期的な維持管理への対応が示されています。

ガイアの事例は、材料選びに加えて運用計画にも目を向けるきっかけになります。気候や水分への対策と維持管理を併せて考えることが、木材を使い続けるうえで欠かせません。

世界で木材利用を支える技術と環境への視点

海外事例に共通するのは、木材を建物の条件に合わせて加工し、他の材料とも組み合わせていることです。材料の技術と環境負荷の評価を両方見ると、木材利用が広がる背景を捉えやすくなります。

高層化に加え、工場での部材製作や調達・維持管理の工夫にも目を向けてみましょう。建物の完成した姿と、それを造り使い続ける仕組みを一緒に見ると、取り入れたい工夫が具体的になります。

CLTと集成材が木材の使い方を広げる

CLTは「直交集成板」と呼ばれ、板の繊維方向が直交するように重ねて接着した木質パネルです。床や壁など、面として建物を支える部分に使われます。

集成材は、板を接着して柱や梁などに使う材料です。ミョーストーネやサラ文化センターのように、CLTと集成材をそれぞれの役割に合わせて採用した事例があります。

両者に共通するのは、木材を用途に合う部材として使うという発想です。一本の大きな木を使う方法に加え、板を組み合わせた材料によっても、大規模な建築への利用が広がっています。

工場であらかじめ部材やモジュールを製作し、現場で組み立てる方法も見られます。ただし、工期や費用への効果は設計、供給体制、現場条件によって異なり、木造なら必ず安く早く建つとはいえません。

環境性は建設から使用後までで考える

木材建築が注目される背景には、建築材料の環境負荷を見直す動きがあります。UNEPは建築材料の脱炭素化に向けて、循環利用や責任ある生物由来材料の利用、従来材料の改善を挙げています。

木材は、使われている間も炭素を蓄える材料です。ただし、炭素を蓄える量と排出を減らす量は異なるため、評価範囲や算定方法を確かめずに合算して効果を示さないようにしましょう。

環境性を比較するときは、同じ用途・性能・使用期間を前提に、建物や材料の一生を通じて見る必要があります。確認したい範囲は、次の4点です。

  • 森林の管理と資源の更新
  • 乾燥・加工・輸送の負荷
  • 使用中の維持管理と部材交換
  • 使用後の再利用や処理

国産材・地域材を選ぶ場合も、産地の近さだけでは全体の環境負荷は決まりません。調達から使用後までの条件を確かめることで、地域の材料を選ぶ理由を具体的に説明できます。

日本でも進む木材建築と海外事例との共通点

日本でも、住宅以外の建物や中高層建築で木材を使う取り組みが進んでいます。海外と日本を高さだけで優劣比較しないことが、事例を国内の計画へ生かす出発点になります。

共通するのは、木材の利用範囲を広げながら、建物に求められる性能を満たそうとしている点です。国内の計画に生かす際は、制度や調達体制、建設地の条件まで比べる必要があります。

国内の高層木造にも技術の進展が見える

横浜の「Port Plus」は、2022年3月に完成した大林組の研修施設です。11階建て・高さ44mで、地上の柱や梁、床、耐力壁などの主要構造部材に木材を使っています。

ここでいう木造は、基礎や接合部まで全て木でできているという意味ではありません。木材が建物のどの部分を支えるかを確認する見方は、国内事例にも共通します。

利用を支える制度の整備も進んできました。CLTの日本農林規格は2013年に制定され、2016年にはCLTパネル工法の一般的な設計法に関する告示が整えられています。

また、2021年の法改正では、木材利用を促進する対象が公共建築物から民間を含む建築物一般へ広がりました。日本でも、技術と制度の両面から用途を広げる動きが見られます。

海外の工法は国内の条件に合わせて検討する

海外で実現した建物は、設計の参考になります。ただし、海外の実績だけで国内の適合性は判断できないため、具体的な計画では次の条件を整理しましょう。

構造・防火
建物の用途や規模、建設地の条件に合わせた確認が必要です。国内の現行基準への適合や必要な手続きは、計画を担当する設計者などに確認します。
調達・加工
地域で用意できる樹種や寸法、品質、加工方法を確認します。海外事例と同じ材料名でも、供給できる仕様や数量、納期が同じとは限りません。
気候・管理
雨や湿気への対策に加え、使い始めてからの点検や補修を考えます。ガイアの維持管理に関する発表のように、運用条件まで見ることが参考になります。

これらの条件が整理できると、自分たちの計画で木材に担わせる役割が見えてきます。海外事例は、国内の適用条件を確認したうえで、工法を検討し、設計者や供給者への質問を具体化する材料になります。

海外事例を国産材・地域材の用途選びに生かす

海外の事例から学べるのは、木材に担わせる役割を明確にすることです。地域材をどこに使うかを先に決めると、必要な性能や加工、供給体制を具体的に検討できます。

建物全体の木造化が難しい計画でも、内装や外構などに木材を使う選択肢はあります。高層建築から得た関心を、身近な場所で地域材を選ぶ行動につなげてみましょう。

構造・内装・外構で必要な性能を分ける

同じ地域材でも、建物を支える柱と、人が触れる内装、雨にさらされるデッキでは確認事項が変わります。産地の情報と用途に必要な性能をセットで見ることが、材料選びの基本です。

用途 主な確認事項 海外事例から得る視点
柱・梁・床などの構造 強度、接合、防火、供給できる仕様 部材と他材料の役割を分ける
壁・天井などの内装 仕上げ、防火上の条件、手入れ 建物の使い方と材料を結び付ける
デッキなどの外構 雨・湿気への対策、補修、施工方法 使用後の管理まで計画する

ここで挙げた確認事項は、用途を検討するための整理です。特定の木材が全ての用途に使えることや、そのまま設計条件を満たすことを示すものではありません。

富山県内で外構への利用を考える場合は、地域材をデッキとして使う方法もあります。当社の「The new Toyama Wood.」は、富山県産スギ100%を使用し、水と熱で処理した木材です。

当社のデッキは、天板を1枚単位で取り外せる構造を採用しています。素材の特徴と補修方法を合わせて確かめたい方は、商品詳細で用途や施工例をご確認いただき、設置条件はお問い合わせください。

外構に地域材

用途に合う木材選び

水と熱で処理した県産スギと、天板を一枚ずつ外せる構造をご案内します。

調達と維持管理まで含めて地域材を選ぶ

地域材を使いたいと思っても、材料名だけでは発注や設計の条件は定まりません。必要な量をいつ用意できるか、加工や施工を誰が担うかまで確認すると、計画を進めやすくなります。

検討する際は、次の順で条件を整理してみましょう。

  1. 木材を使う場所と用途を決める。
  2. 必要な性能と使う環境を整理する。
  3. 樹種・寸法・数量・納期を供給者に確認する。
  4. 点検・補修・交換の方法を計画する。

例えば、デッキなら設置場所や使い方に加え、傷んだ部分をどう補修するかも判断材料になります。導入時の仕様だけでなく維持する方法も確認すると、使い続ける場面を具体的に考えられます。

海外の建物からは、外観や高さとともに、材料の役割や供給・管理の仕組みを学べます。地域で用意できる材料と技術、管理体制を照らし合わせ、自分たちの計画に合う使い方を探しましょう。

まとめ|木材建築の海外事例を地域材の活用に生かす

海外の木材建築では、高層化に加えて、材料の組合せや工場での部材製作、地域産業との連携が見られます。木材の価値を国内に生かすには、使う場所と必要な条件から地域材を検討することが大切です。

まずは構造・内装・外構のどこに使うかを決め、求める性能を整理しましょう。樹種や寸法、数量、納期に加え、点検や補修の方法まで確認すると、実際の計画へつなげやすくなります。

環境性を考える際は、産地や素材名に加え、調達から使用後までの条件を確認します。海外の建物で得た視点を、地域の材料に合う使い方を探すために役立ててください。

富山県内でデッキへの活用を検討する方は、当社へ設置場所と用途を添えてお問い合わせください。商品詳細で特徴や施工例を確認し、具体的な計画の相談へ進んでいただけます。

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